中学生・高校生におすすめの本

「本なんて」という読書嫌いな中高生から、
「本が好き」だけど、読書から遠ざかっている中高生・大人
までを対象に、読書のキッカケがつくれるような、
読みやすくかつおもしろい本を紹介していきます。
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    ぎぶそん
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      ぎぶそん
      ぎぶそん
      伊藤 たかみ

      有名なエレキギターのメーカーをタイトルにしたことからわかるように、中学生によるバンド結成〜文化祭でのライブを描いた青春小説。時代設定は昭和から平成に移る時。今となっては古い時代のように思えるが、そんなことを感じさせない何度読んでも楽しい作品だ。

      この小説は、「ガンズ・アンド・ローゼズ」に夢中になったリーダーの「ガク」が、バンドメンバーを募るところから始まる。ギターの上手いと噂の「かける」は、いわゆる「部落」に住んでおり問題児としても有名だった。そんな彼をガクが「音楽をやりたい!」純粋な動機から勧誘する。かけるの家は父親、母親はおらず、言葉がはっきりしない祖父しかいない。通常であれば敬遠されがちなところだが、ガクは持ち前のまっすぐさでしつこくかけるを勧誘する。

      そんなガクに魅力を感じ、かけるはバンドへの参加をOKするが、マロと上手くいかないことで喧嘩をしたり、仲直りしながら練習をしていく。そして、文化祭前の練習でバラバラだった演奏が一つになるきっかけを掴む。

      この小説が魅力的なのは、ガクを中心としたメンバーの普段の会話、関係性、やりとりがリアルでとても自然であるということだ。大人が読めば、くだらないことに夢中になった学生のことを思い出すし、同時代の学生が読めばまさに共感できるだろう。しかも、その中に淡い恋愛感情も入ったり、衝突もしたり、「部落」とか社会の矛盾に対して彼らなりに考えたりもする。全体的にとてもポップで読みやすい文体でありながら、さり気なく大事なことに気づかせてくれる、とても優れた小説だと思う。
      | いどっち | (小説)中学1・2年 | 16:27 | comments(0) | trackbacks(0)
      きのう、火星に行った。
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        きのう、火星に行った。
        きのう、火星に行った。
        笹生 陽子
        主人公の山口拓馬は小学6年生で、勉強も運動も何でもできる。だから、学校ではやる気もなく「クール」に決めていた。そんな日常生活に、病気療養のため7年も離れて暮らしていた弟の健児が帰って来る。懸賞で当たったゴーグルを常に身につけたり、宇宙に行った話をまじめに語ったりする少し変わった弟に生活に私生活は乱され、学校でも不本意ながらハードルの選手に選ばれて「でくちゃん」という足の遅い生徒組まされる。
        初めはそういうことに関わるのを「面倒くさい」と思っていた主人公だが、根は純粋な弟やでくちゃんとの関わりや、学校でのテスト替え玉事件等を通じて、何かおかしいことはおかしいということの大切さ、やる気や情熱を出していくことの大事さに気づいてくストーリー。
        「ときどき、おれは思うんだ。なんでもできる人間が、この世で一番幸せだとはかぎらないんじゃないかって。なんでもできるということは、やりたいことができるというのと似ているようで、ぜんぜん違う種類のものなんじゃないかって。たとえば、両手にあり余るほどのお金を持たせてもらっても、買いたいものがなければ意味がないのとおんなじで、なにをやってもいいといわれて、実際なんでもできたとしても、やりたいことがなければ、そんなの、やっぱり意味がない。わかっていたけど、わかっていないふりをしながら生きてきた。心にぴっちりふたをして、死んだふりして生きてきた。なぜって、それは自分にとって都合のよくないことだから。自分に都合のよくないことは、無視したほうが楽だから」
        ラストシーンで、主人公がリレーを走りながらこんな風に独白する場面は圧巻だ。
        この小説はすべて山口拓馬の視点で描かれており、難しいことばも全く使われていない。しかし、これだけリアルに小学生の心理や人間関係を描き出し、大人が読んでも感動できる小説になっているところが素晴らしい。
        | いどっち | (小説)中学1・2年 | 16:12 | comments(0) | trackbacks(0)
        12歳たちの伝説1〜2
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          12歳たちの伝説 1 (1)  12歳たちの伝説 2 (2)
          12歳たちの伝説 1 (1)
          12歳たちの伝説 2 (2)
          後藤 竜二

          後藤竜二は1967年に『天使で大地はいっぱいだ』でデビューして以来、主に小学生向けにさまざまな児童文学を書いている。野球チームを題材にした『キャプテンはつらいぜ』などシリーズ化しているものも多い。

          この『12歳たちの伝説』も全5巻のシリーズだ。単行本では完結しているが、それが今度ピュアフル文庫になった。

          学級崩壊を起こして先生にも見放された6年1組に、大きなゴリラのぬいぐるみを抱えた、ちょっと変わった新任の女の先生が担任となり、徐々にクラスに変化が現れていくストーリーだが、この小説の主人公は先生ではなく6年1組のクラスメイトたちだ。

          本文はそのクラスメイトたちそれぞれの視点で語られる。読んで驚いたのは、いじめ・学級崩壊・不登校など、端から見れば重要な問題を抱えている生徒たちが、自分や周りのことをとても客観的に観察しているということだ。おそらく、それが強すぎるために周りを傷つけたり自分が傷ついたりするのだが、半面、彼らが垣間見せる不器用な優しさには、はっとさせられる。

          「一度こじれてしまったものはなかなか元には戻らない」という言葉どおり、クラスメイトたちも、本音ではうんざりしているのだが、心とは裏腹に、逆の方向に言葉や体が動いていく。新任の森先生は、彼らの本当の気持ちに気づいているのか、子どもたちが動き始めるのを待つ。そして、ときには子どもたち同士が激しくぶつかることもあるが、本気でぶつかることで、少しずつ前に進んでいく。

          小学生向けの本ではあるが、「子どもたちの不器用な優しさ・繊細さ・真剣さ」に、普段忘れかけている大事なものを思い起こさせてくれる本だ。
          | いどっち | (小説)中学1・2年 | 08:02 | comments(0) | trackbacks(0)
          ユメミザクラの木の下で (こそあどの森の物語)
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            評価:
            岡田 淳
            理論社
            ¥ 1,575
            (1998-12)
            コメント:「こそあどの森の物語」の第4作。スキッパーたちの暮らす「こそあどの森」で起こる不思議な出来事を印象的に描いた作品集です。どこか懐かしくて詩情あふれる世界観に毎回思わず引き込まれてしまいます。今回も、ユメミザクラを巡って「鮮やか!」ともいえる物語が展開されます。

             岡田淳さんが描くファンタジーは、子供がすんなり入り込める不思議でおもしろくて、わくわくする世界観を持ちつつ、ときどき「ドキッ」とするような風刺というか鋭さもあって、大人や中高生が読んでも十分楽しめます。

            「桜の樹の下には死体が埋まっている」とは梶井基次郎の小説の一節ですが、そこまでなまなましくはないですが、この物語にもちょっと怖い詩的な仕掛けがあります。
            | いどっち | (小説)中学1・2年 | 23:39 | comments(0) | trackbacks(0)
            ぼくらのサイテーの夏 (講談社文庫)
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              評価:
              笹生 陽子
              講談社
              ¥ 400
              (2005-02)
              コメント:六年生の夏休み前に「階段落ち」ゲームでケガをし、相手の栗田とともにプール掃除の罰を食らった主人公の桃井。「サイテー」の夏の始まりだったが、複雑な家庭事情を抱える者同士、お互いが気になる関係に。そして、「サイテー」の夏から一歩ずつ前進・成長してゆく。

              JUGEMテーマ:読書
              主人公桃井のうちは、優等生のはずだった兄が私立中学校の授業についてゆけなくなり、ひきこもりに。父親は単身赴任、母親も家のことに手がつかない状態。

              同学年の栗田も、家だけは豪華だが、ろくに仕事をしない父と、家出した母。障害を抱えた妹と二人で暮らす。

              「ぼくら」はこのような状況の中でも、自分たちなりに考えて、時には無理に大人ぶって楽しく小学校生活を送っている。

              罰として与えられたプール掃除をきっかけに、お互いがお互いの環境を察し合える中になり、夢中になって体を使うことで、よく生きるために必要なことを体で学んでいく。そして、ひきこもりの兄を遊園地に連れ出したことから、事態は好転し、復学した兄は医学部を目指して自分の道を進むまでになった。

              「ひとつだけ、ぼくが思うのは、人生、そんなにおもしろおかしいものでなくてもいいってことだ。たとえ、胸が苦しくなるほどいやーなことがあったとしても、ひと月のうちに二回か三回、お腹を抱えて笑えるような、ゆかいなことがあったら、それで、何とかやっていけると思う」

              このように紹介してくると、深刻な小説?と思われるかもしれないが、こういったテーマをへこたれない少年の視点や行動でたんたんと描くことで、多くを語らずして心に響く物語になっていると思う。

              一時間もあれば読めるくらいの内容なので、本嫌いの男の子には特にオススメだ。桃井と栗田の関係は、いわゆる「友情」というくくりに入るのだろうが、とてもいい。言葉は少ないけれど、お互い前向きに生きるんだ、という目標を共有し、尊敬し合えるような、そんな関係。

              | いどっち | (小説)中学1・2年 | 22:04 | comments(0) | trackbacks(0)
              きみの友だち (新潮文庫)
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                評価:
                重松 清
                新潮社
                ¥ 620
                (2008-06-30)
                コメント:足の不自由な恵美ちゃんと、その周りの「友だち」をめぐる連作長編小説。「友だち」のほんとうの意味を、決して明るいだけではない、さまざまな事情を抱える子どもたちの視点から描く。生真面目なテーマであるが、一つ一つの話の展開のうまさ、おもしろさが際立っているので、とても読みやすい。

                JUGEMテーマ:学問・学校
                 映画化されて評判になった、重松清の連作長編小説。実際は、主人公の「恵美ちゃん」をめぐる周囲の子どもたちが、一人一人主人公になって描かれる。
                クラスの中で少数派である、「恵美ちゃん」のような心に傷を負った生徒から、「ブン」と「モト」のような優等生までが交代で登場する、10編の短編からなる。

                まじめな評を書くとすれば、

                「友だち」とは何かについて考えさせられる小説

                であるが、

                「友だち」について断定的な定義が下されるわけではないし、説教くさい内容でもない。ただ、ここに登場する生徒たちはみな、相手をかけがえのない存在としてとらえることの大切さに気づく。そこから、これまでの「友だち」の関係から一歩抜け出し、成長していく。その様子が、見ていてとてもいいと思う。
                | いどっち | (小説)中学1・2年 | 23:17 | comments(2) | trackbacks(0)
                ふしぎな木の実の料理法 (こそあどの森の物語 1)
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                  評価:
                  岡田 淳
                  理論社
                  ¥ 1,575
                  (1994-12)
                  コメント:小学生から読めるが、大人でも思わず入り込んで読んでしまう、そんな魅力が詰まった本。

                  JUGEMテーマ:読書
                  最近この「こそあどの森の物語」シリーズにはまって読んでいます。岡田淳さんは以前にも『放課後の時間割』などで紹介しましたが、子どもたちに人気の児童文学作家です。

                  この本も小学校3・4年生から読める本ですが、大人でも、こそあどの森の住民間で起こるさまざまな事件や不思議な出来事に 思わず入り込んで読めてしまうと思います。

                  大まかなあらすじはこんな感じです。学者のおばあさんと二人で暮らしているスキッパーは、ある日旅先のおばあさんから手紙と「ポアポアの実」を受け取ります。しかし、その手紙の「ポアポアの実」のおいしい食べ方が書かれたところが、偶然水に濡れて読めなくなってしまったために、その料理法をめぐってこそあどの森の住民たちがあれやこれやと試してみるというものです。もちろん最後には意外な答えが明かされます。

                  本好きでひきこもりがちなスキッパーをはじめ、登場するこそあどの森の住民たちはどれも個性豊かで、物語世界の豊かさを感じさせられます。現在9冊シリーズが出ていますが、どれもおすすめです。
                  | いどっち | (小説)中学1・2年 | 22:47 | comments(0) | trackbacks(0)
                  びりっかすの神さま
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                    びりっかすの神さま (偕成社文庫)
                    びりっかすの神さま (偕成社文庫)
                    岡田 淳
                    JUGEMテーマ:読書


                    | いどっち | (小説)中学1・2年 | 09:10 | comments(0) | trackbacks(0)
                    空へつづく神話
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                      空へつづく神話
                      空へつづく神話
                      富安 陽子,広瀬 弦

                      岡田淳の本と同じく、本来は小学生4・5・6年生向けの児童書。ただ、この本も大の大人数人に貸したところおもしろい!といってはまっていた。本嫌いの子にオススメです。

                      自分の住む街の歴史が書かれた『津雲の史蹟』という本と、自分の名前を忘れた神様と偶然出会った理子が、神様の記憶を取り戻すべく、本の内容と神様のことを調べているうちに、物語は意外な方向へ…。

                      こう紹介すると、難しい歴史の話かと思われるかもしれませんが、中身は日本の歴史をベースにした、冒険ありの楽しいファンタジーです。特に中間から、なぞが解ける最後のクライマックスまでは引き込まれます。設定がどこにでもある学校のどこにでもいる女の子ですし、より親しみやすい。

                      そういえば、宮崎アニメに似ているところがありますね。
                      | いどっち | (小説)中学1・2年 | 10:01 | comments(0) | trackbacks(0)
                      宇宙のみなしご
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                        宇宙のみなしご
                        宇宙のみなしご
                        森 絵都,杉田 比呂美

                        大人も子どももだれだって、いちばんしんどいときは、ひとりで切りぬけるしかないんだ、って。(中略)

                        でも、ひとりでやってかなきゃならないからこそ、ときどき手をつなぎあえる友だちを見つけなさいって、富塚先生、そういったんだ。

                        手をつないで、心の休憩ができる友達が必要なんだよ、って……


                        グループに属さず、学校では気の合う人とだけ付き合っている主人公の陽子。彼女にあこがれながら、ずっと声をかけることさえできなかった引っ込み思案な七瀬さん。ネット世界で、世界の終わりに向けて戦う同士を集めているキオスク。その普段は周りに避けられているキオスクをもたやすく信じてしまう、純粋でマイペースな陽子の弟、リン。

                        学校ではちょっと浮いてしまいがちな中学生四人が、「真夜中に屋根に登る」という危険?な遊びを通して、「自分たちが自分たちでいること」の大切さに気づき、けんかや仲直りをしながら成長していく。

                        引用したラストのシーンはとても感動的です!
                        | いどっち | (小説)中学1・2年 | 22:01 | comments(0) | trackbacks(0)
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